航空科学館設置の基本理念

 未来に向けて科学技術の進歩がますます重要視されている現代にあっても、自然現象を探求し、原理・原則を見出していく科学が、その礎になっています。そして科学技術は、快適で豊かな生活を実現するために、また、未知の世界に到達するために、得られた科学の成果を応用、展開し、発展してきたものです。

 青森県は、人類が自然に挑んで成し得た科学技術の結晶のひとつである航空機に関して、その草創期から深くかかわりをもっており、県が輩出してきた航空人や様々な航空史実など恵まれた背景があります。航空機という魅力的な形をとって具象化した人類の夢を通して、青森県が世界の航空史に果たした役割を広く情報発信することは、科学及び科学技術の歴史と未来への展望を伝えるとともに、青森県がまた新しい輝きを放つことにつながるものです。

 国際時代の深化、そして地方分権の推進などを踏まえ、本県の未来像を志向したとき、21世紀を担う青少年には、個性豊かに創造力あふれ、未来へ向かって夢を抱くこと、また、地域の文化や伝統を受け継ぎ、誇りと自信をもってふるさとを語ることがより強く求められ、これが地域発展の原動力となっていくものと考えられます。

 青森県は、この糸口として、21世紀に一層役割が期待される科学及び科学技術に目を向け、身の回りを観察し、自ら考え、行動する姿勢を培うために、県政の重要施策として、青少年の「科学する心」の育成を掲げ、様々な分野で全庁的な取り組みを進めてきています。

 新時代を担う青少年にとって、物事の本質に関心を持ち、新たな発見をして感動したり、小さな疑問が涌き上がったりすることを出発点とし、体験や実験を経ながら科学的なものの見方や考え方を学び、科学的な素養を培うことは今後ますます必要となります。また、試行錯誤を繰り返しながら、挑戦しつづけ、夢をかたちにしていくこと〜科学を科学技術に結びつけていくこと〜も重要な視点と言えます。

 青森県は、平成9年2月に策定した新青森県長期総合プランの中で、未来力溢れる社会〜未来を担う人づくりを重要な柱として位置づけており、また、平成10年12月に策定した青森県科学技術振興指針においても、知恵の輪、技の輪、人の輪づくりをテーマとして、創意・工夫を結集する環境を整えることとしており、今後とも継続して未来を担う青少年を心豊かに育む環境づくりを推進していくものである。

 青森県立三沢航空科学館は、これらを具体的に実現する拠点施設として設置されました。

前ページに戻る インデックス